キミの風を感じて

『ゴリラ』は禁句だったのか、鈴木が猛然と言い返し、そこでまた全員から非難をごうごうと浴びていた。


こうなるともう“鈴木 VS 他のみんな”的な構図ができあがっちまって、収拾がつかない。




「だいたいこーんなこともできねーやつ、面倒見きれるかっ」


鈴木は立木さんをしつこく責める。




「ちっせーヤローだな。いい加減にしろよ、鈴木」

「そうだそうだ。引っ込め、ゴリラ」


「何をっ」


「なんだよ、バーカ」


「バカとはなんだ、バーカ」


あー、もう……!





「あ、あ、あのっ」


そのとき、ひときわ大きな声をあげたのは、立木さんだった。




「鈴木くん、わたし走るから……。みんなにも見てもらう」


え?


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