キミの風を感じて
で、俺のところまで歩いてきてたゴリリン鈴木は、なぜか俺にはこう言った。
「加島、さすがだな、お前」って。
なぜだかふんぞり返ってエラそうに言う。
がんばったのは立木さんなんだけどな。
「プ、素直じゃねーの」
「あん? 何が?」と鼻をふくらませる鈴木。
「直接ほめてやりゃあいーのに」
「ハン、誰がほめるか、あんなウスノロ」
振り返ると立木さんは輪の真ん中で笑っていた。
本荘に、きれいな髪をクシャッと撫でられて、なんかうれしそうにしている。
まったく本荘にはいいところ持ってかれっぱなしだし。
女子のメンバーの中で立木さんは、もう下の名前で呼ばれてるみたいだった。
『紗百』って……。