キミの風を感じて
「そっかぁ、坂田って『ドリアンチョッパー』のボーカルやってる子だ?」
誰かがでかい声をだした。
は? なんだ、それ。バンド名か?
だけどそのヘンテコな名前のバンドを知らないのは俺だけらしく、女子たちの話はどんどん盛り上がっていく。
どうやらそのバンドは校内では群を抜く実力派らしく、5月の学祭では満杯の視聴覚室を総立ちにさせたらしい。
「となりにいるのもそうだよね、D組の子」
「あー、ギターの人だ」
「高梨俊介」
女子がいっせいに窓を見あげたので、俺もつられて上を見ると、坂田の横にもうひとり、こっちを眺めている男がいた。
やたらのっぽで、パーマのロン毛を後ろで無造作に束ねた……何だかイケてる感じのやつ。
「あ! じゃあ、あっちが紗百ちゃんの彼氏?」
誰かがそんなことを訊いた。
え……っ。