キミの風を感じて
「ちがうちがう。そんなんじゃないから」
全力で否定する立木さん。
ホッとしたのもつかの間、彼女は
「高梨くんには、もうフラれ済みなんだよね~」
なんてケラッと笑った。
えっ?
「そうなの?」
「うん。バレンタインにユメちゃんが坂田くんに、わたしが高梨くんにチョコをあげたの。結果、ユメちゃんたちはつきあうことになったのに、わたしは即答で『ゴメン。友だちで…』だからね」
……マジか。
「えー、紗百ちゃん可愛いのに。もったいないことするなぁ」
「高梨って、ちょっとモテてるもんね。変人っぽいけど」
「特定の彼女作らないんじゃない?」
なんて次々とフォローが入ったので、立木さんはあわててこんなことを言った。
「気をつかってくれなくて大丈夫だよ。高梨くんのことはちょっといいなと思ってただけだから。フラれてもほとんどダメージなかったし」
ふーん……。