キミの風を感じて

放課後――。


俺はグランドに出て、他のやつらと一緒に明日の体育祭の準備に取りかかっていた。


進行表にずらっと書かれた必要な用具を、体育倉庫から取り出してチェックしていく。




「加島」


呼ばれた声に振り返ると、本荘が立っていた。


「ちょっといい?」


何か話があるようなので、とりあえず倉庫の脇に行って2人で向かい合う。


制服姿の本荘は肩からスポーツバッグをさげていて、このまま帰るところらしい。




「紗百のことが気になったからさ」


と本荘が切り出した。




「あの子、元気なかっただろ?」


「ああ」


気になっていたけれど、結局しゃべる機会もなく放課後になってしまった。




「あんたが倒れちゃったから、鈴木にこっぴどくやられたんだよねー」


え?


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