キミの風を感じて
「とにかく明日はもう本番なんだぜ? どーすんの加島。なんとかしてくれんの、くれないの?」
「え、俺?」
「他に誰がいんだよ。あの子をリレーに引っぱり込んで、ず―っと一緒に練習してきたのはお前だろ? 電話して何か言ってやれよ。こんなんじゃかわいそうだ」
「えっと、……なんて言う?」
「バーカ、そんなの自分で考えろ」
「苦手なんだ俺。うまく言えねーし。伝わんないんだ、いつも」
逆に泣かせちまうし……。
「あのさ加島、伝えられるかどうかって『能力』じゃなくて『覚悟』だから。
言葉なんてどーだっていいよ。しっかり励ましてやれ。それだけ」
「お……う」
すげーな。
さすが団体競技のキャプテンだ。
「じゃ、頼んだよ」
今度は爽やかな笑顔を残して、本荘は去っていく。
こいつがライバルじゃなくてマジ助かった。