キミの風を感じて
あっ!
「ほ、本荘! 俺、あの子のケータイ知らねー」
「はぁっ?」
大声で呼びとめると、本荘はあきれたような声を発して戻って来てくれた。
「まったくもう……。世話が焼ける」
ブツクサ文句を言いながらポケットからケータイを取り出して、本荘はやっぱ女の子らしい指先でもう画面をスクロールさせている。
「ちょっと待て」
グランドの隅に置いた自分のバッグに駆け寄り、中からスマホを取り出してダッシュで戻った。
「スゴイな、本荘。もう立木さんの番号知ってんだ?」
もらった番号を確認しながら感心してつぶやくと、本荘は心底あきれたように言った。
「つーか2週間も2人きりで練習しといて、まだ交換してないほうがビックリだよ。口実なら、いくらでもあんだろーが」
「はぁ」