キミの風を感じて
「どーせあんた体育祭終わっちゃったら聞けないんだろ? だったら、いつつながるの? 今でしょ」
まったくだ……。
けど、だいたい俺のケータイの利用法なんて、陸部の連絡用ツールかゲーム機かってとこだ。
あとはネットを見るとか?
立木さんのケータイ番号やアドレスをゲットしたところで活用できるとはとても思えなかったんだ。
電話苦手だし、メールだって何書いたらいいのかわかんねーもん。
だけど……。
うつむいた立木さんの横顔が目に浮かんだ。
苦手だとか言ってる場合じゃないよな。
家に帰ったら電話してみよう。
必要なのは『能力』じゃなく『覚悟』。
毎朝一生懸命がんばってきた立木さんに、晴れやかな気持ちで明日を迎えてさせてやりたい。
それだけだ。
「加島、いい体育祭にしような」
そんな俺を見て、本荘が笑った。