キミの風を感じて
体育祭前日――
終礼が終わってユメちゃんと一緒に教室をでると、廊下で坂田くんと高梨くんが待ち構えていた。
「バンドのみんなでカラオケ行くけど来る?」
坂田くんがユメちゃんに訊いている。
「うん! 紗百も行くよね?」
「え、わたしはいい」
思わずそう答えていた。
「そっか、明日本番だもん、そんな気分じゃないか」
「うん。へへ、緊張してるし楽しめないかも。ユメちゃんは行っといで」
「ゴメンね」
坂田くんたちにときどき誘われるカラオケは、メチャクチャにぎやかだ。
バンドのメンバーは5人なんだけど、それぞれが別の子を誘ったりして、行ってみると結構な人数になってたりする。
それもお祭り人間ばっかなのか、バカみたいに盛り上がって、わたしなんかいつも笑いっぱなし。
歌う順番なんて絶対に回ってこないけどね。