キミの風を感じて
坂田くんがユメちゃんと一緒にいたいから、わたしもついでに誘われるわけだけど、今日はパス。
とてもそんな気にはなれない。
リレーの本番を明日にひかえて、高ぶる気持ちを静かに集中させたいっていうのもあるけど、ホントの気持ちはもっと逆方向へと向かっていた。
もう、やだ……。
駅前のカラオケ店に向かうユメちゃんたちと一緒に帰ることになって、くつを履きかえる。
いい曲ができたとかで今日はハイテンションな坂田くんが、くつ箱までついてきて、さっきからユメちゃんの横でずうっとしゃべり続けている。
そんな彼氏が可愛いのか、ユメちゃんはクスクス笑いながら話を聞いていた。
ラブラブな2人のジャマにならないように、わたしは一歩遅れて歩き出した。
校舎を出て門に向かうと右側にグランドが広がっている。
体育の先生と、生徒が何人か、グランドの白線を上書きしていくのが見えた。