キミの風を感じて
細身に思える制服姿の彼からは想像できないけれど、薄いウェアを通して感じる加島くんの胸板は、意外と厚くてゴツゴツしていて、息をするたびに上下していた。
『加島っ、どーした?』
『お、おい、しっかりしろっ』
あわてて駆け寄ってきたみんなが、加島くんの頬をペチペチ叩いたり揺すったりしているのがわかった。
『ダメだ。気を失ってるぞ』
『脳しんとうじゃない?』
『動かすな、保健の先生呼びに行け』
緊迫した声が飛び交い、それからみんなは彼の上に乗っかっちゃってるわたしを、引きはがそうとしてくれたんだ。
だけど硬く巻きついた加島くんの腕は、簡単にはほどけなくて……。
『すげー力だな、こいつホントに気を失ってんのか?』
『まさか寝たふり?』
『いや、むしろ死後硬直じゃね?』
『バカ』
結局ゴリリン先輩が力ずくで、わたしを加島くんの腕の中から引っぱりだしてくれたんだった。