キミの風を感じて
加島くんはまるでスヤスヤと眠ってるような顔をしてわたしの横にひっくり返っていて、その顔を見たら涙がこぼれた。
彼がずっとひとりで戦っていることをわたしは知ってるのに。
体育祭が終わっても大事な試合が控えてることだって知ってるのに。
『加島くん、大丈夫? ね、どこか痛い?』
泣きながら、倒れた体にしがみついたら、またゴリリン先輩に怒鳴られた。
『泣いたってなーんも変わらねーぞ。
だからイヤなんだ。どこまで迷惑かける気だ。足手まといなんだよ、マジで』
――その通りだと思った。
『やめなよ。紗百は何もしてないだろ? ただの事故だよ、この子のせいじゃない。
だいたいこんな顔して気にしているやつに、よーくそんな言葉をかけられるな。お前それでも人間?』
本荘さんが飛んできて、わたしをかばってくれた。
そう言われたゴリリン先輩はムッと口を閉ざし、わたしの顔から視線をそらした。