キミの風を感じて
「『だな』じゃないよ。き、決めたの加島くんなんでしょ? わたしリレーなんて絶対に無理だからね!」
言った。言ってやった……!
「足りないんだよ、人数」
しかし加島くんはムスッとそう答えた。
「今回うちのクラスとしては、まず800や400に力を結集したから、足の速いやつが必然的に足りなくなる」
ムゥ……何だ、その言い方は。
「そのうえ鈴木が吠えちまったからマジでいないんだよ、走るやつ。松山が必死で説得して回ったけど、あと1人だけがどうしても足りなかった」
あと1人……。そこにわたしがはめ込まれたわけだ。
実際メンバー表を見ると、わたし以外は運動部のつわものや、部活をやってなくても運動神経のいい人ばっかで、“スポーツできない女子”のわたしだけが完全に浮いちゃっている。