キミの風を感じて
「イヤだから」
もう一度はっきりとわたしは言った。
「リレーなんて出ないから」
勝気な瞳と視線がぶつかる。
小さな沈黙のあと、ハァ……と加島くんはため息をついた。
「みんなそう言うんだよな。たかだか運動会のリレーぐらいで押しつけ合ったり、泣き出したり……。誰かが走らなきゃいけないことぐらいわかってんだろーに」
あきれたように言葉を投げる。
「だ、だけど、なんでわたしがその『誰か』にならなきゃいけないの?」
「立木さんHRふけて、いなかっただろ?」
食い下がるわたしの顔を見ながら、平然と彼はそう言ってのけた。
いや、ふけた……けど。
「で、でも、いないから押しつけるなんて、ちょっとひどいよ」
「え、サボらず真面目に話し合いに参加してるやつを優先させたらいけないの?」
う……。