キミの風を感じて

『あ、うん。そう……かな?』


もしかして、あのとき本荘さんと交換していたように見えたのは、わたしの電話番号……だったのかもしれない。




『鈴木に何か言われたんだって?』


『え……』


ぎこちない会話は、それでも少しずつつながっていく。




『何言われた?』


『別に……ホントのことだし、平気だよ』


『何?』


ポツポツと、だけど適当にはごまかせない感じで加島くんは質問を重ねてくる。




『えっと、ウスノロだって。加島くんが走れなくなったらわたしのせいだって。マジで足手まといなんだって』


言いながら情けなかった。





『バカだな。そんな言葉本気にしてんのか?』




短い言葉が優しく響く。


ヤバい。泣きそうだ。


< 179 / 375 >

この作品をシェア

pagetop