キミの風を感じて
『あ、うん。そう……かな?』
もしかして、あのとき本荘さんと交換していたように見えたのは、わたしの電話番号……だったのかもしれない。
『鈴木に何か言われたんだって?』
『え……』
ぎこちない会話は、それでも少しずつつながっていく。
『何言われた?』
『別に……ホントのことだし、平気だよ』
『何?』
ポツポツと、だけど適当にはごまかせない感じで加島くんは質問を重ねてくる。
『えっと、ウスノロだって。加島くんが走れなくなったらわたしのせいだって。マジで足手まといなんだって』
言いながら情けなかった。
『バカだな。そんな言葉本気にしてんのか?』
短い言葉が優しく響く。
ヤバい。泣きそうだ。