キミの風を感じて

『わたし迷惑ばっかかけてるから……』


ホントにそうなんだもん。


『かけられた覚えはない』


『頭打って痛かったでしょ? どこか傷めてない?』


『なんともないって言っただろ?』


少し怒ったような彼の顔が浮かんだ。




『こっちだって、ぶざまに気絶しちまってヘコんでるんだ』


『え』


『気のきいた言葉も言えないし』


加島くん……。




『だけど、立木さんがケガしなくて本当によかったって思ってるから』


『う、うん。……ありがとう』


ホッと、彼が息をついたのがわかった。




『本荘に怒られたよ』


『う?』


『お前がなんとかしろって』


『なんとか?』


< 180 / 375 >

この作品をシェア

pagetop