キミの風を感じて
体育祭当日、決戦の朝――。
グランドに立ち、空を見あげると
澄み切った青空に風が渡っていく。
天気は快晴。
体も軽い。
一応バナナも食ってきた。
あとは――。
「おはよ、加島くん」
グランドの中央で実行委員の打ち合わせが終わったとき、背後から追い越しざまに声をかけられた。
今日はポニーテールの後ろ姿。
クルッとしっぽが弧を描いて、振り向いた君が恥ずかしそうに笑う。
「ん。おはよう」
「へへ」
照れてるのは『明日は笑って』と言った俺のリクエストに、お応えしてくれてるからなんだと思う。
ポッと染まった頬のまま、立木さんは胸の前で小さなガッツポーズを作って見せた。
ホントに可愛いことをする。