キミの風を感じて
「何がイヤなの? リレー」
そんなわたしを横目で見ながら、加島晴人は無愛想に訊いた。
何って……。
「速い人ばっかが走るんだよ。なのにわたしだけ足が遅くて、ぶざまでみっともなくて、クラスに迷惑かけて、白い目で見られて、がっかりされて……優勝を逃しちゃうんだ」
「へぇ、そーゆーの気にするんだ?」
なんて加島くんはちょっと意外そうな顔をする。
「は? 気にしない人がいたら連れてきてよ」
この人にはわからないんだ。
松山さんにだって鈴木くんにだってわからない。
泣きだしちゃうほどリレーに出たくない気持ちがこの世の中にあるなんてこと。
「どーせ俊足のプリンス様にはわかんないでしょーよ」
思わず口からポロッとこぼれた。
だってムカつくもん。
加島くんなんてもともと不機嫌そうだし、怒ったって知らない……!