キミの風を感じて

や……。まぁ、言わなくてもわかるか。


それどころか、すでに緊張して食いもんが喉を通らなくなってるかもしれない。


パニクッっているあの子の姿が目に浮かんで、早足でクラスの観覧席に戻り姿を探した。


リラックスさせてやらなきゃな。




でっかいシートが敷かれたクラス席では、みんなが適当に散らばって飯を食っている。




お……。




友だちと仲良く並んで弁当を広げてる立木さんは、でっかいおにぎりを今パクッといったところだった。


むしゃむしゃモグモグと、なんとも幸せそうに食っている。


伸び上がってのぞいてみると、弁当箱には色とりどりのおかずがぎっしりと詰まっていた。



しかもでかくないか? 弁当箱。




「…………」




うれしそうに次々とおかずを口に運ぶ彼女を見ていると何も言えなくなって、そのまま自分の荷物のところに戻り腰を下ろした。


< 191 / 375 >

この作品をシェア

pagetop