キミの風を感じて
……ま、いっか。
体育祭なんてどうせ祭りなんだし、そんなにストイックになることもない。
なんだかこっちまで腹が減ってきて、弁当を半分だけ食った。
いつもだと、出走前には絶対に食わないんだけど。
「おう、加島」
いつのまにかリレーの男メンバーが集まってきて、しゃべりながら食ったりしていた。
「緊張してのどを通らねーや」とか結構みんな言っていて、やっぱ立木さんって大物だと思う。
昼飯を済ませ、どっか体を動かせる場所を探して校舎裏に向かった。
「あれ?」
誰もいない校舎の陰でピョコピョコ揺れるしっぽを見つけた。
立木さんがひとりでストレッチをしている。
俺が教えた順番通り、ひとつずつ丁寧にこなしているのがいじらしい。
「おーい、加島くーん」
こっちに気がついて手を振ってくるので、俺も横に行って体を伸ばした。