キミの風を感じて
「速く走れたらいいんだろ?」
不機嫌な顔のまま、加島くんは言った。
「は……?」
「明日から朝練するから」
「え……?」
「そのつもりで」
ちょ、ちょっと待ってよ。
「わたし無理だってば。リレーに出るなんて言ってないよ。わがままだと思うかもしれないけど、ホントにホントにダメなの。
生まれてからずっと足遅いのに、ちょっと練習したぐらいで速く走れるとか思わないでよ」
「したことないんだろ、練習」
「ない……けど」
「してから言えば?」
とりあってもらえない悔しさと、バカにされたようなみじめさで、何だか自分が情けなくて涙が出そうだった。
「ま、松山さんが、加島くんなら何とかしてくれるって言うから来たんだよ」
「そうだよ、あんたが決めたんだから責任とってよね」
ユメちゃんも加勢してくれる。