キミの風を感じて
退場門を抜けてから、キョロキョロと辺りを見回した。
加島くんと話したい……!
「紗百」
後ろから呼ばれて振り向くと、高梨くんが立っていた。
「スゲーじゃん、紗百。ビックリした」
「あ……は、ちゃんと来たんだ、高梨くん」
「さっきな」
クシャクシャッて笑ってる。
「ちゃんと輝いてんじゃんか、お前」
まぶしかったぞ~、って高梨くんはわたしの頭をグリグリと撫でてくる。わわ……。
ふと視線を感じて横を見ると、加島くんがこっちを見ていた。……ような気がしただけかな?
彼はわたしに気づかなかったみたいで、そのまま向こうへ行ってしまった。
まだ委員の仕事があるのかも知れない。本部のテントのほうへと歩いていく。
誰よりも加島くんと、この喜びをわかちあいたかったのにな……。