キミの風を感じて
「だから」
と、加島くんは言った。
「何とか……するから」
「「な、何とかって?」」
「朝練、つきあうよ」
ち、ちがう! そんなの求めてない……!
だけどもう、リレーに出ることからは逃げられそうになくて、そーゆー自分の現状を思い知り、あまりの理不尽さに涙がポロッとこぼれ落ちた。
その瞬間、驚いたような黒い瞳とバシッと目が合う。
う……。
こ、こんなことで泣いてたら、またバカにされちゃうし……。
グッとこらえて震える声で言った。
「もっと速い人いっぱいいるのに」
けれど加島くんはスイッと窓のほうを見て、もうとりあってはくれなかった。
「ひどいよ……」
鬼、悪魔、どこがプリンス?
「行こっ、ユメちゃん」
自分の席に戻りながらゴシッと涙を拭いた。
大っキライだ、加島晴人――!