キミの風を感じて

一瞬の沈黙。


『昨日のこと……OKでいいんだよな?』


真面目な声で加島くんが訊いてきた。


『え?』


『早とちりしてたらヤバいと思って』


つきあってって言われたことだ。




『あ、うん。OKだよ。

へへへ、キスしたくせに』


なんて思わず言っちゃった。




そうしたら彼はグッと言葉を詰まらせて、それからボソッとこう言った。




『手……早かった?』


プフ。


『たぶん』


なんてなんて、加島くんとこんな会話をしてるなんて信じらんない!?




ねぇ、わたしのどこを好きになったの?


とか、もっと可愛い子なら素直に訊けるんだろうけど。


< 219 / 375 >

この作品をシェア

pagetop