キミの風を感じて


翌朝登校すると、学校全体の雰囲気がなんとなく変わっていた。


妙にざわついているというか、色めき立っているというか……。


ちょうどくつ箱のところで加島くんを見かけたので声をかけようとした途端、彼の周りにドッと人が押し寄せた。


テンション高めにはしゃぐ声があがる。




「加島さ~ん、おめでとうございます!!」

「ヤバい、カッコいいーっ!」

「キャー、こっち向いて」

「笑ってくださ~い」


とか言われて勝手に写真を撮られてる。




「…………」


それにも構わず無言のまま、彼はスタスタと教室へ向かって歩きだした。


バッグを持った片手を肩に乗せ後ろに背負うようにしながら、我関せずって感じで大またで歩いて行く。


う。


も、もうちょっと愛想よくしたほうがいいんじゃないのか?


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