キミの風を感じて
「あ?」
おわっ!? 振り向いた顔がものすごく不機嫌。
「あ……の、おはよ」
「ああ、うん。立木さんか」
ムスッとしたままかろうじて返事をくれる。
「記録おめでとう」
「うん」
ちょっとだけ笑った。
「すごい人気だね」
「……めんどくせーのな。どーせタイムが落ちたら見向きもしないくせに」
そこで加島くんは小さく息をつくと、教室までの数メートルをまた歩き出した。
「みんなうれしいんだよ、加島くんの記録が。あんまり無愛想にしてると、また嫌われるよ?」
「また?」
「はっ、あ、いや……」
「別に、ひとに好かれたくて走ってるわけじゃないからな。そんなことまで構ってられるか」
あー、キレてる……。