キミの風を感じて

「お前さぁ、なんつー顔してんだよ、学校一のヒーローが」

「ひとに騒がれんの、そんなにイヤが？　普通はテンションあがるもんだろ？」




「苦手……なんだよ、こーゆーの」


ボソッと答える加島くん。




「まー、加島らしいけどな」


「言えてる言えてる」


「さっき女子に囲まれてキャーキャー騒がれながら、加島くんすっごいげっそりした顔してて、それ見て思わず笑っちゃった。あはは」




2Aのみんなが笑っている。


なんだ、ハラハラして損しちゃった。




「えっと…………」


加島くんが息を吸い込んだ。



「サンキュー」


ひょこっと小さく頭をさげる。




思いがけないセリフと、その表情のミスマッチ具合に、ドッとみんながまた笑う。


「バーカ、こっちがサンキューだ」




みんなの笑顔を受けて、加島くんのムスッとした顔が照れくさそうにほどけていく。


へへへ、よかったね、加島くん。