キミの風を感じて
そうして――
体育祭が終わり通常のリズムを取り戻した日々の中で、加島くんは生き生きと、とても輝いて見えた。
充実してるっていうのは、まさにこういうことなんだと思う。
朝練に始まり、授業が終わると暗くなるまでグランドを走る。
最近はかなりハードなメニューに取り組んでいるらしく、休みの日もひとり残って遅くまで練習しているようだった。
だけど教室で見る加島くんは全然疲れてはいなくて、むしろ顔つきが明るくなった気さえする。
相変わらず口数は少ないし、はしゃいだりなんかはしないんだけどね。
あれからもう1ヶ月近く経つけど、加島くんとわたしがつきあい始めたってことは、まだみんなには知られていない。
ユメちゃんにだけこっそり打ち明けてあるぐらいだった。