キミの風を感じて
『わざわざ発表しなくても、自然に知られていけばよくない?』
って加島くんが言ったから。
冷やかされたりすんのキライなんだろうな~って思った。
迷惑かけないようにしなくっちゃ。
陸上がんばってんだし、負担にならないようにしなくっちゃ。
とか、一応プリンス様に合わせて、いい彼女になる予定……!
土日も練習キツそうだからデートなんてあきらめてるし、電話やメールも彼の都合のいいときにしてくれればいいと思ってる。
それぐらいハードそうに見えたんだ、加島くんがトレーニングに打ち込んでる姿って……。
放課後よくユメちゃんにつきあってもらって、加島くんの練習を少しだけ見てから帰る。
そうそう、今陸上部はグランドの一番奥が練習場になっていて、東校舎2階の端にある化学実験室前から、わたしたちはそれを眺めるんだ。