キミの風を感じて

「練習終わるの待って一緒に帰れば? つきあうよ、それまで」


なんてユメちゃんは言ってくれるけど、加島くんにウザがられそうな気がするんだよね、そーゆーの。




「また今度、都合訊いとく」


「紗百、加島くんに気をつかいすぎじゃない? 電話とかしてるの?」


ユメちゃんが心配そうに訊いてくれる。




「うん! 加島くんのほうからかけてくれるんだよ」


「へぇ~」




練習帰り、電車を降りて駅から家までの道のりを歩きながら、彼はよく電話をくれる。
『今帰りなんだ』って。


家に帰ってからだと眠くなっちゃうみたいで、一度電話中に寝ちゃったことがあるから。




夕ご飯もお風呂も済ませて『あとは寝るだけだからゆっくり話せるよ』って、たぶんベッドの上からかけてきてくれたことがあったんだけど、

だんだん返事がうつろになってきて……

とうとう応答がなくなって小さな寝息だけが聞こえてきたんだ。



きっと疲れてるんだよね。


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