キミの風を感じて

「ホントにいるんですか? 彼女なんて」


もう一度問いかけられる。




「いっねーよ、そんなもんっ」


ほとんど怒鳴るようにそう答えた。


あんなやりとりを聞かされて、立木さんのこと言えるか、バカ。




「なんだ、ビックリさせないでくださいよ~」


ホッとした表情になる彼女たちにはもう構わず歩き出そうとしたとき、背後からしっかりとした声が聞こえてきた。




「ちょっと聞き捨てならないな、今の話」


あ。


「福本さん」


陸部のキャプテン・大柄の福本さんが、きちんと下級生の女の子たちに向き合って立っていた。




「部員やその周りの人間に危害を加えるようなことをされたら、陸上部としては黙っていないからね。

絶対に加害者をつきとめて、親や学校や、なんなら警察や裁判所にだって通報するよ」


毅然とそう言ってのける。


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