キミの風を感じて
「や、やだなぁ、架空の話ですよ、今のは」
女の子たちがあわてだす。
「ならいいけど。
それと、明日から部活の見学は入部希望者だけに限らせてもらうから。職員室に行って顧問の吉崎先生に願い出て、許可をもらってからにして下さい」
事務的にそう告げると、先輩は「行こう、加島」と歩きだした。
「あ、はい」
後ろでブツブツぼやく女子の声が聞こえなくはなかったけれど、あとはもう完全無視で。
「あの、ありがとうございます」
部室に向かいながらそう頭をさげると、福本さんは少し笑いだしそうな顔で俺にこう言った。
「ホントはいないんだろ? 彼女なんて」
「えっ」
「見栄はんなって、加島」
真面目なキャプテンからも俺はそう認知されているらしく、一応ボソッと申告しておいた。
「や、います」