キミの風を感じて
「えっ、いるのか、お前、そういう子」
先輩の口がポカンと開く。
「OKもらったとこで……」
「マジ? お前が? 告ったのか?」
いや、驚きすぎだろ。
どんな印象なんだ、俺って……。
「あー、あの朝練の子?」
しばらく驚いてから、福本さんは思い出したように言った。
「そうです、はい」
「へー、じゃあそれが好調の原因だ?」
「……かもしれないです」
福本さんと話すのは、この前のレースのあと声をかけてもらって以来だ。
『よく走ったな』って肩を叩いてくれたっけ。
「充実してるみたいだな。お前最近顔つきが変わったよ」
並んで歩きながら、福本さんがマジマジと俺の顔を見る。