キミの風を感じて

帰り道、駅の改札を抜けて、立木さんに電話をかけた。


3日に1回ぐらいかな?
そんな割合でかけるようにしている。


ホントは毎日でも声を聞きたいんだけど、向こうからはかかって来ないし、あんまりガッついて引かれるとマズイので一応セーブしている。


俺、手が早いらしいし。
気をつけよう、うん。




『もしもし、加島くん?』


『今帰り』


『へへ、お疲れ様』


疲れが吹っ飛んで行く。




教室では席も離れているし、しゃべったりとかなかなかできないけれど、ケータイの向こうから聞こえる立木さんの声はいつも朗らかで明るい。


苦手だと思っていた電話での会話も案外平気だった。


いや、きっと俺はやっぱつまんない話しかしてないんだろうけど、それを立木さんはすげー楽しそうに聞いてくれるんだ。


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