キミの風を感じて
「言っとくけど、俺、そーゆーいじられキャラじゃねーから」
ムスッとそう答えると、何がおかしいのか2人はヒャッヒャと笑った。
「だけど、去年も会えるかと思って楽しみにしてたのに、なかなか会えなかったもんな」
笑い終わると宮本が少しマジにそう言った。
「ああ」
「そやな」
俺だけ、出遅れた。
合宿はフォーム崩して半分病んでドタキャンしたし、インターハイも早々に予選敗退して出られなかった。
斉木も宮本も当たり前のように出場して、100と200でそれぞれ優勝したのを、俺は新聞の記事で知ったんだった。
「おっしゃ、乾杯しよう」
ここに来る前から仕込んできたらしく、宮本がジャージのポケットからゴロゴロと、水のペットボトルを3本取り出す。