キミの風を感じて
「つーかな、向こうが期待するようなつきあい方ができへんのなら、手を離してやるべきやろ。そうしたらその子ももっとええ彼氏とつきあえるやん」
「おーおー、フラれたくせに負け惜しみか?」
「うるせー」
バスッと宮本の顔面に枕が飛んだ。
「イテッ」
「お前もフラれてしまえ」
「てめー」
投げ返された枕をよけながらベッドに横になり、斉木がこっちを見る。
「で? 加島は? そーゆー子おるんか?」
黙ってうなずくと、端正な顔が苦く笑った。
「お前、俺より不器用そうやからな。まーがんばれよ」
「うん」
「フラれたら電話しといで。なぐさめたるわ」
なんて言われた。
「そういう意味じゃ、陸上の強化選手同士の恋なんて理想じゃね? お互いの事情も心情も理解できるしさ」
なーんて宮本ひとりがテンションあがっていたけれど、結局やつの失恋がこの合宿の締めとなった。