キミの風を感じて
ライブの開演は18:00って聞いていたけど、ユメちゃんと早めに入ってドリアンチョッパーのみんながリハーサルしてるのを見ていた。
何か手伝えることがあればと思ったけど、わたしたちができるようなことは何にもなく、オールスタンディングのホールにパイプ椅子を持ってきて座り、観客1号2号になっているだけ。
「だけど紗百、よくガマンできるよね~」
不意にユメちゃんがこっちを向いた。
「何が?」
「イブも会えないなんてあり得ない」
「あー、だけど加島くんだって遊んでいるわけじゃないしね」
「でも全然会えてないじゃない」
「いーんだよ、加島くんのペースで。
そーゆー坂田くんだってバンドやバイトで忙しいんでしょ?」
そう切り返すとユメちゃんはニッコリと笑った。
「涼は『会いたい』って言ったら飛んで来てくれるもん。夜中にバイク飛ばしてびゅ~んって」
「え、ホントに?」