キミの風を感じて
「ライブの熱にまかせてがんばっちゃいなよ。今日来てくれるんでしょ、彼」
「うん。ちょっと遅れるって言ってたけど、必ず来るって。へへ」
逆告白なんてできるかどうかは別にして、久しぶりに加島くんに会えることにドキドキしてきた。
早く、会いたいな……。
合宿はどうだったのかな? あんなにとっつきにくい人だけど大丈夫だったんだろうか?
ときどきもらう短いメールじゃ詳しいことはわかんなくて、早くいろんな話を聞きたかった。
気がつくとリハーサルは終わっていて、ドリアンチョッパーの面々はステージの中央に集まっていた。
最終の打ち合わせをやっているみたい。
それも済んだのか、しばらくすると高梨くんがステージから降りてきた。
「涼が話したいみたいだぜ」
ユメちゃんにそう笑いかける。
うれしそうに飛んでいくユメちゃんの後ろ姿を眺めながら、高梨くんは言った。