キミの風を感じて
「要はそんな究極にトロいやつに大事なバトンを渡せるかって話だ。転んで落っことしてどっか飛ばしちまうに決まってる」
「決まってないだろ」
「決まってるって!」
「まぁ、練習しようかってことになってるから」
鈴木をなだめるためにそう言ったけど、立木さんは朝練には来ないだろうと思っていた。
泣かしちゃったしな……。
「練習したって無理なもんは無理だ、あんなやつ」
ひとの気も知らずに憎々しく吐き捨てた鈴木にカチンときてムキになる。
「やってみなきゃわかんねーだろ」
「は? 無理だったらどーすんだよ、無理だったら」
もっとムキになってやつは言い返してきた。
「俺が、巻き返す」
めんどくさくなってそう答えた。第7走の立木さんのすぐあとに走るアンカ―は俺だから。