キミの風を感じて
「ちょっとっ! 紗百がいつもどんだけあんたの都合ばっか考えてきたのか、わかんないの?」
叫ぶようにそう言ったのはユメちゃんだった。
目を見開いて立ち尽くし涙をダバダバ流しながら硬直してるわたしを、ユメちゃんはしっかりと抱きしめてくれた。
ユメちゃんの口撃が加島くんめがけて矢継ぎ早に飛んでいく。
「何、その自己中な言いっぷり」
「だいたいこんなにほったらかしといて、つきあってるって言えるの?」
「しかも女の子を怒鳴りつけるとかサイテーだからね。信じらんない」
どうやらユメちゃんはその加島くんの怒鳴り声のあたりで駆けつけてくれたみたい。
「紗百が何したの? 遅れて来たあんたが悪いんじゃないの?」
加島くんがライブに間に合わなかったことで、わたしたちがケンカになったと思ったようだ。