キミの風を感じて
あ……。
人影は立木さんだった。
こっちに背を向けて高梨としゃべっている。
ムカついてそばへ行こうとしたとき――
突然、高梨が彼女を抱きしめた。
え……?
高梨の大きな手がきゃしゃな肩にまわされ
指が柔らかな髪に埋もれるように
白いうなじに触れ
彼女を、自分のもとへと引き寄せる。
大きな手が背中を下りて、立木さんの腰にまわされた。
2人の体が重なる。
な……んだ、これ?
なんで立木さんはされるままになってんの?
高梨が何かささやくたびに、やつの腕の中で彼女はコクコクと小さくうなずいていた。
何を……言われてる?
何を……うなずいてんの?