キミの風を感じて

グルッと寝返りを打ってうつ伏せになり、枕に顔をうずめた。


死体のようになってジッとしている。


高梨に抱きしめられるあの子の姿が、


闇の中に何度も何度も浮かんでは消えた。




あのあとの打ち上げを、2人はどう過ごしたんだろう。何を話したんだろう……。




結局――お似合いなんだよ、あの2人は。


もともとあの子は高梨のことが好きだったんだし、高梨だって今はあの子を見ている。


放っておけばきっとうまくいくはずだったものを、俺が先に告っただけだ。


あいつの気持ちに、立木さんが気づいてしまう前に……。




まぁ、ちょっとしたズルだよな。


だけど、100m走るのとはわけがちがって、早けりゃいいってもんでもない。


ズルしたツケはまわってくるのか――。




合宿で体が疲れているはずなのに、目が冴えて全然寝つけなかった。


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