キミの風を感じて
不満げな俺の顔が気に入らないらしく、鈴木は吠え続ける。
「プリンスだなんてチヤホヤされて、エラそーにしてんじゃねーよ。
いいか、リレー負けたらお前のせいだからな」
……エラそーなのはお前だし。
「だったら鈴木がアンカー走れよ。たいしたタイムでもないくせに」
言ったあとで、最後のは余分だったなと思ったけれど、もう遅い。
鈴木は真っ赤な顔をして怒鳴り声をあげた。
「加島っ、お前が責任者だ。ろくなメンバーも集められないくせにアンカーまでひとに押しつけようとしやがって。うちのクラスが優勝できなかったら責任とれよっ」
「退学にでもなんの?」
「俺が殴る!」
鈴木はもう一度俺の机をバン!と叩くと、肩をいからせ大きな足音をたてて教室を出て行った。