キミの風を感じて

その夜、一睡もできずに、わたしはただベッドに横たわっていた。


窓の外が白む頃、彼からのメールが届いた。


《ゴメン 》と一言だけ――。




たぶんケンカのことだよね。


言い合いになってしまったことを気にしてくれているんだと思った。




だけど今のわたしの心には、その言葉足らずな《ゴメン 》が、たくさんの意味をまとって沈んでいく。



《ゴメン、もうつきあえない 》

《ゴメン、もう終わりにしたい 》



ユメちゃんの腕の中で聞いた加島くんの声が、暗闇に蘇った。



『……ゴメン。ムリだ、俺』



あれはそう……言いたかったの?




他の男の人に抱きしめられてイヤがらなかったわたしを、彼はもう信じられないのかもしれない。


こんなにも振り回されるなんて、想定外だったのかもしれない。


陸上に専念できなくなると、悟ってしまったのかもしれない。


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