キミの風を感じて
だから別れたことを電話で報告したときも『正解だよ、それ。あんな勝手なこと言うやつ』なんて言われちゃって、
わたしも『そだね』とか強がってみせたっけ。
だけど新学期が始まっていつもそばにいて、ユメちゃんにはわたしのホントの気持ち、バレちゃったみたい……。
「わたしも涼と別れようと思ったことあるよ」
小さな沈黙のあと、ポツッとユメちゃんが言った。
「え?」
「学校以外でもバンドの人気が少しずつ出だしてきて……もしかして彼女とかいないほうがいいんじゃないかなって思ったの。
フリーのほうが絶対ファンが増えるし、そうしたら一人でも多くの人が涼の歌を聞いてくれるでしょ?」
「ユメちゃん……」
「だってブレイクしてほしいもん! あんなにがんばってんだし」
「うんうん」とうなずく。