キミの風を感じて
「でね、別の理由を作って涼に別れを切り出したら、しつこく問い詰められて結局バレちゃって、すっごく怒られたぁ!」
「へぇ」
「1人で勝手に決めんなって」
「うん……」
「それから、俺の夢ナメんなって」
そう言ってユメちゃんは、ちょっとだけ笑った。
「彼女がいてもいなくても、たとえ愛人が10人いよーが、夢中で聴いてもらえる歌を俺は歌うんだ、アイドル目指してんじゃねーぞって、威張ってたし」
「ふふ、カッコいいね、坂田くん」
コクンと力強くユメちゃんがうなずいた。
「だけどユメちゃんがそんなことを悩んでたなんて、全然知らなかったや……。ゴメンねー」
わたしがそう言うと、ユメちゃんは笑って首を横に振った。
「わたしは紗百にいつも元気をもらってるもん。素直で明るい紗百を見てると、わたしもがんばろうって思えちゃう」