キミの風を感じて
放課後――。
「松山」
陸上部が練習するグランド前で、柔軟体操をしている松山に俺は声をかけた。
「何?」
立ちあがったトレーニングウェア姿の彼女と向かい合う。
「お前さぁ、立木さんに言わなかったの?」
「え?」
「リレーに出ること。プログラム見るまで知らなかったみたいだぜ」
ああ、と松山は気まずそうな顔をした。
「俺言ったよな? 取りあえずリレーは立木さんってことにするけど、明日本人が来たら確認しといてって。立木さんがNGだったら全員でジャンケンして決め直すって」
「だって、それは困るってみんなが言うから……」
「は?」
「サプライズでいんじゃない?って」
「え、わざと教えなかったってこと?」
「うん、まぁ……」
やっぱ気まずそうに松山がうなずいた。