キミの風を感じて
翌日――
冬休みの課題ノートを提出し忘れていて、わたしは昼休みに数学の先生のところまで、それを出しに行った。
教務室まで持って来るように言ったわりには担当の先生はいなくて、別の先生がノート受け取ってくれた。
たぶんあれは陸上部の顧問の先生だな。
教務室は校舎のはずれにあって、普段はあまり使われていない階段を下りて教室へと戻る。
薄暗い階段は空気がそこだけひんやりとしていた。
踊り場の高い位置にある窓から光が白く差し込んでいる。
「あ」
誰もいない階段を下からあがってくる人がいて、一瞬、その姿に目を奪われた。
加島……くん?
なんでかな?
なんで忘れようとしているのに現われちゃうんだろう。
顔を見ると決意も揺らぐのに。