キミの風を感じて
いや、でも授業をサボってまで、顧問の先生と何の話をしてるの? 転校の相談じゃないの?
なんでわたしにボタンをくれたの?
お別れだから? それともこの学校の制服は、もういらないから?
すべてがそう結びついてしまう……。
まさか、まさか、まさか――。
ガタンと、思わず席を立った。
「ん? どーした、立木」
先生の声がする。
「ほ、保健室に行ってきます」
そう言って教室を飛び出し、わたしは廊下を走った。
『俺……転校するんだ』
途切れた言葉の続きが、聞こえた気がした。
とにかく確かめよう。
加島くんが転校してしまうなんて、あるわけない。
彼がいない学校も
彼がいないグランドも
想像なんてできなかった――。