キミの風を感じて
「『俺、転校したくないんですけどいいですか?』って、こいつは今俺に相談に来たとこ」
「え、そうなの?」
思わずとなりを振り返る。
「うん。まぁ」
気まずそうにコクリと、加島くんがうなずいた。
ええ―――――っ!?
1人すっごいテンションで飛び込んできて、涙を流しながら想いをブチまけた自分を思い出し、めまいがしてくる。
「な、なんだ。だったらいいや。勘違いしちゃった。へへ、ゴメンね」
恥ずかしさのあまり、逃げるように立ち去ろうとすると、手首をガッと加島くんにつかまれた。
「話がある。
けど、ちょっと待ってて。先に先生に言うことがあるから」
ものすごく真剣な表情。
「う、うん」
「バーカ、せっかくいいとこなのに、俺のほうを後回しにしろよ」
先生が気をつかってそう言ってくれた。